ユーザーリサーチってどうやるの?手法や進め方をまとめてみました!
こんにちは、サービスデザイン部の四方です。
現在私は、グループミッション(通称:「ぐるみ」)で「UXリサーチ」についてチームで取り組んでいます。
ぐるみについてはこちらをご覧ください。
社内横断のデザイン活動を始めるまで
みなさんは、ユーザーリサーチに取り組むまでのハードルが高かったり、自分ができるか不安だったり、進め方がわからなかったり……取り組む時、ちょっと悩むことってありませんか?
そんな悩みを解消すべく、目的と効果・フロー・実施のコツ・注意点などのノウハウを中心に、ユーザーリサーチの手法をまとめた資料を作成しました。
もくじ
ユーザーリサーチって?
ユーザーリサーチとは、ユーザーの行動の実態把握と、そこに至るまでの思考を理解するための調査全般を指します。
主な手法
主なリサーチ手法とその効果は、以下3つです。
- ユーザーアンケート:ユーザーの属性・ニーズの把握
- ユーザーインタビュー:潜在的なニーズの洗い出し・方向性の確認
- ユーザーテスト:課題の本質や改善ポイントの確認・サービスコンセプトの確認・ニーズとのマッチング確認
実施タイミングとその効果
リサーチフローにおける、各ポイントの目的に応じた手法を選択することで、リサーチの効果が得やすくなります。
ユーザーリサーチのフロー
課題を見つけ改善するまで、このようなフローで行います。
全体像把握・目的設定・仮説出し
上のフローの中で1番大事なことは、最初のステップである全体像把握・目的設定・仮説出しの部分になります。ここを明確にしておくことで、思った通りの効果を得ることができたり、問題解決につなげたりすることができます。
参考文献:『イシューからはじめよ 知的生産の「シンプルな本質」』(安宅和人、英治出版、2010年)
全体像把握・目的設定
ユーザーが何を望んでいるのかを把握し、見えた課題に対してどのような解決を目指すか明確にします。
仮説出し
「こんな感じのことを知りたい」というテーマの整理だけで終わらせず、仮説をチームの中で共通言語に落とし込み、チームの認識を合わせておきます。
具体的で深い仮説を事前にしっかり立てるメリットは、以下の3つです。
- 答えを出し得る、本当に意味のある課題なのかを確認できる
- どの程度の粒度のデータが必要なのか等、分析すべきことが分かる
- 出てきた結果が十分なのか等、分析結果の解釈が明確になる
ここまで準備ができたら、リサーチ手法を選択し実施の準備をしていきます。それぞれの手法について得られる効果やコツを以下にまとめてみました。
ユーザーアンケート(WEB)
現状の把握(=課題)や次の打ち手を検討することができたり、新規の獲得(=消費者)は何を求めているのか、何に困っているのかなど顧客ニーズを集めることができます。
得られる効果
- ユーザーの実態・ニーズの把握ができる
- ユーザー起点の機能開発を行うことができる
- リスク軽減ができる
実施するときのやることリスト
回収率の目安
アンケート回答数の目標は、一般に、アンケートの回収率が25%程度であれば上出来といえます。母数が多くなれば、傾向も見つけやすく正確になります。目立つ導線やメール配信など、母数を増やす工夫はアンケート回収期間中も工夫が必要です。
実施するときのコツ
- アンケートの目的を明確にしてから作る
- 選択肢がMECE(ダブりやモレのない)状態になっている
- 曖昧な回答をさせない質問にする (“普段”や”最近”など人によってズレてしまう。”週に1回以上”など具体的な頻度を提示する)
- 質問の回答項目はランダムに並べる (1番上を雑に押されてしまうのを防ぐため)
- 質問の語尾を揃える(〜教えてください。〜ですか?)
- 適切な設問数にする
- 設問を答えやすい順に並べる
- 回答者がわかりやすい言葉で質問をする
- 主語の省略はしない
- 適切な回答形式にする(複数選択や自由記述など)
- アンケートの所要時間入れる
- 回答後は、「ご回答ありがとうございました」のお礼とアンケート遷移前の画面に戻れるようにリンクをいれる
注意点
個人情報の取り扱いについて
アンケートに謝礼・インセンティブを設定している場合、回答者の個人情報を得ることになりますが、その個人情報の取り扱いには注意が必要です。個人情報を取得する場合には、取得した個人情報の取り扱いについて明記しておくことが大切です。
アンケート結果をサイトに掲載する場合も事前に使用用途を明記しておきましょう。
ユーザーインタビュー
普段、サービスをどう利用しているのか・どんなことを改善して欲しいのかなど、ユーザーの思っている課題やニーズを実際のユーザーに聞くことができます。
詳しくはこちらもご覧ください
【初めてでも安心!】オンラインユーザーインタビューの準備から実施までをまとめてみた
得られる効果
- 新しい仮説の発見ができる
- 新プロダクトなどのコンセプト決めるヒントを得ることができる
- 新サービス開発のユーザーニーズや調査ができる
実施するときのやることリスト
実施するときのコツ
質問するときのコツやポイント
- 対話を促すような質問にする
- 誘導的な質問にならないようにする
- 基本的には話を聞くことを徹底する
- 質問に対する回答の想定、補足の質問を準備する
- グループよりも1対1の方が他人に流されないで意見を出せる
参加者に不安を与えない・リラックスしてもらう
- 守秘義務、録画・録音の許可を取る
- 同席者は多くない方がよい(インタビュア1〜2名)
- 自己紹介やインタビューの目的、時間などを最初に伝えると良い
- 答えに間違いはない、わからないという回答もあり
ユーザーテスト
ユーザーの行動や発言を通して、問題点の発見や、定量データでは把握できないユーザーの疑問・関心・ニーズなどの定性データを得ることができます。
得られる効果
- サービスのユーザビリティーを測れる
- フィードバックを直接受け取り、課題の発見ができる
- 定性データによって課題の裏付けができる
- 定性データでないとわからない仮説の検証ができる
実施するときのやることリスト
実施するときのコツ
テストタスク作成時のポイント
- 優先度高いものを絞り込んでシンプルにする
- ユーザー視点で発想する
- スタートとゴールを定義する
- シナリオ化する
- 例:「あなたは明日13時に新宿で、友人とランチにいくとします。会社のミーティングの都合で、12時集合に変更したいと思います。このスマホを使って、SNSで友人に変更時間を連絡してください。」のように具体的に
- シナリオ通りにサービスを使ってみて、どこが問題になりそうか、良い影響を与えそうか、なども予め仮説を立てておく
記録準備のポイント
- テスト中にどこをチェックするかをあらかじめ決めておく
- 進行スケジュールや観察ポイントを確認&記録できるよう、チェックリストを紙に印刷しておくのも良い
テスト実施のポイント
- テスト前に被験者の緊張を解き、普段通り使ってもらう
- 考えていることや思ったことを口に出してもらいながら操作してもらう
- 独力でタスクを完了できたかを要チェック
- 記録や進行に追われ、被験者の行動観察をおろそかにしない
- タスク完了後、被験者の真意を可視化させるため質問する
記録時のポイント
- 記録は、ユーザーの行動と発話を時系列にメモするのが良い
実施前の準備について
- 深堀る時間がなくなってしまうので、ユーザーテスト中に検証する課題は3つまでに絞る
- 被験者の人数は多くても5人までにする
- ユーザーテストに参加する開発チームの人数は、なるべく少なくするチームメンバーが多すぎるとユーザーは緊張して、正直なフィードバックを伝えづらくなってしまう
テスト本番について
- 質問するときは自由回答になるように、オープンクエスチョンでする。はい/いいえで答えられるようにすると微妙なニュアンスをキャッチできない
- テストをしながら分析をせず、ここでは事実のみを記録する
- テスト中は質問に答えてはいけない。タスク実施中は観察に徹して、こちらから話しかけることは控える
まとめ
この記事で、ユーザーリサーチに取り組むまでのハードルが少しでも減り、やってみるきっかけになったら嬉しいです。
ユーザーリサーチで何に取り組むかによって得られる結果は変わります。目的にあった分析をしてみてください!目的が明確になっていれば、答えはしっかり出せるはずです。サービスを通じてお客様に笑顔になってもらえるように、これからもユーザーリサーチを推進していきたいと思います。
ここまでお付き合いいただきありがとうございました!