業務に役立つ!デザイナーのための論理的思考ワークショップ

はじめに
こんにちは!
ぐるみ「論理的思考力強化チーム」またの名を「シンキング侍」です。
サービスデザイン部には「ぐるみ」と呼ばれる、他チームのデザイナーと協力して組織課題の解決に取り組む活動があります。今回は、デザイナーの論理的思考力を強化しようというテーマで結成されたチームの活動を振り返ります。
私たちは、サービスを成長させるためにはどうしたらよいかということを日々考えています。その土台として、論理的に考えることのできる力が大切だろうと考えました。そこで今回は、論理的思考法を理解し広めることを目的として活動を行いました。
あらためて考えてみると、論理的に考えるって何だろう?生まれ持った才能なんじゃないの?などなど実はよくわからないことだらけです。このチームの活動を通じて、そのような「よくわからないこと」がわかるようになり、得た知識をデザイナー全体に渡せるようなワークショップを開催することをゴールとしました。
ワークショップ開催前の準備
論理的思考ワークショップは、サービスデザイン部に所属するデザイナー全体に向けて開催しました。
ワークショップの目的は、ビジネスやサービスの成長を促進するために各々の問題解決力を高めることです。具体的には、思考法やフレームワークを学び、実際の場面で活用できるスキルを身につけることを目指しています。
この目的に沿って、私たちはワークショップのカリキュラムを作成・実施しました。
ワークショップ開催の前に、私たちシンキング侍チームで論理的思考を学ぶ必要がありました。
具体的には、以下の手順で思考法のインプットを行いました。
1. インプット前の状態でチームで議論
思考法のインプットによってどんな変化が起こるかを検証するため、まずは思考法やフレームワークについての知識を前提とせず、自分たちの経験や直感を頼りに議論を進めました。
今回は「GMOメディアのデザイン組織はマトリックス型と事業部型どちらが良いか」について議論しました。

2. 論理的思考法を学ぶ
次に、論理的思考法をインプットしました。
議論をより円滑に進めることができるかつ、 ビジネスにおいて有益であることを基準に、10個の思考法(論点思考、仮説思考、クリティカルシンキング、水平思考、ロジカルシンキング、分析思考、概念化思考、問題解決思考、コンテキスト思考、アナロジー思考)について調査し、資料としてドキュメントにまとめました。
その中で、再度議論を行う上で特に役立ちそうな論理的思考法を5つ厳選し、より詳しく調査しました。
3. 再度同じテーマで議論
学びのまとめとして再度同じテーマで議論し、論理的思考を取り入れることで議論の過程や結果にどのような変化が生まれたかを確認します。
思考法を学ぶ前後では、議論で導いた結論の納得感の違いに変化がありました。
一回目の議論で出した結論には納得感が足りず自信を持てませんでしたが、論理的思考を用いることで議論の過程がロジカルになり、結論もふんわりせず納得感が出ました。
以下が、思考法のインプット前とインプット後での比較です。
思考法のインプット前の過程:

思考法のインプット後の過程:

思考の過程を比較すると、インプット前は、自分の直感や経験に頼る部分が多く、情報の整理や取捨選択に時間がかかることがありましたが、インプット後は、「情報の取捨選択」ができるようになったり、「思考の目的が明確になる」など、「本質を捉えて考えること」ができるようになりました。
私たちが論理的思考をインプットするうえで参考にした記事を列挙するので、みなさんも参考にしてみてください。
参考文献:
Power Interactive「すべてのビジネスパーソンの必読書『論点思考』をかんたん解説」 https://www.powerweb.co.jp/knowledge/columnlist/commentary-of-book/
ロジシンLab(ラボ).「ロジカルシンキングの例題10問と解答例【利用場面を想像できます」https://logicalthinking.net/example/
ロジシンLab(ラボ).「【コンテキスト思考とは】事実の裏側にある背景を読み解く思考法」https://logicalthinking.net/context-shikou/
manebi「ロジカルシンキング研修の例題オススメ7選!研修に活用するポイントとは?」https://manebi.co.jp/column/m-0101/
RESKILL「【思考力を身に付ける】クリティカルシンキングとは?4つのステップを紹介」https://www.recurrent.jp/articles/critical-thinking
RECRUIT「クリティカルシンキング(批判的思考法)とは? ロジカルシンキングとの違いや背景、メリットを分かりやすく解説」https://www.recruit-ms.co.jp/glossary/dtl/0000000040/
GROBIS CAREER NOTE「仮説思考を鍛える3つの方法。仕事の効率化と質向上を目指そう」https://mba.globis.ac.jp/careernote/1008.html
MUFG「仮説思考」https://www.murc.jp/library/terms/ka/hypothesis_thinking/
Mission Driven Brand「思考法一覧|ビジネスに必須のビジネス思考力【10種類】を解説」https://www.missiondrivenbrand.jp/entry/thinking_Thinking
Mission Driven Brand「概念化とは|概念化の意味と概念化能力の鍛え方を解説|事例有」.
https://www.missiondrivenbrand.jp/entry/thinking__Conceptualskill
株式会社武蔵野「ラテラルシンキングとは?ロジカルシンキングとの違いや鍛え方を解説」https://www.m-keiei.jp/musashinocolumn/lateralthinking
給与計算ソフト マネーフォワード クラウド給与「ラテラルシンキングとは?考え方や具体例、思考の鍛え方を解説」https://biz.moneyforward.com/payroll/basic/64494/
Schoo for Business 「概念化能力とは何か?高い人の特徴や求められる背景からトレーニング方法も解説」https://schoo.jp/biz/column/1561
Schoo for Business「アナロジー思考とは?そのメリットや身に付け方について解説する」https://schoo.jp/biz/column/1160
ワークショップの内容と様子
ワークショップは前編と後編の2部構成にしました。
前編は論理的思考の基礎知識を学ぶ座学(@オンライン)
後編は実際に論理的思考力を用いて課題解決に挑むワークショップ(@オフライン)
として、それぞれ別の日に開催しました。
それでは、前後編それぞれのワークショップの内容と様子をご紹介します。
ワークショップ前編 〜座学で論理的思考の基礎知識を学ぼう〜
前編では、論理的思考についての知識のインプットと平準化を目的とし、ビジネスシーンでよく使われる思考法の概要や具体的な使用例を紹介する座学のワークショップとしました。


1. 目的の共有
説明に入る前に、まず学ぶ意義を伝えて関心を引きます。
ここでは先ほど述べた目的に加えて、論理的思考力の向上によって得られる具体的なスキルを、高度デザイン人材育成ガイドラインに基づくこれからのデザイン人材に求められる項目からピックアップして提示しました。

参考文献:経済産業省.「⾼度デザイン⼈材育成ガイドライン」. https://www.meti.go.jp/shingikai/economy/kododesign/pdf/2019032902.pdf.2. 頭の体操
次に、論理的思考の感覚を掴んでもらうために、簡単な問題を解いてもらいます。
明らかになっている情報から思考を始めてもらい、「仮にこうだったらどうだろう」と一つずつ仮定を立てながら、論理が成り立つかを確かめていくという論理的思考の基本を体験してもらいました。

問題は以下の書籍から拝借しました。
参考文献:野村裕之.「頭のいい人だけが解ける論理的思考問題」.ダイヤモンド社3. 各思考法の紹介
本編では、チームでピックアップした複数の思考法について紹介していきます。
各思考法を適切なタイミングで使い分けることで、より良い解決策や結論を導きやすくなります。以下の5つの思考法について、大まかな思考の流れに沿って順番に解説しました。
論点思考
仮説思考
クリティカルシンキング
ロジカルシンキング
分析思考

以下は、一例として資料から抜粋したロジカルシンキングの演繹法についての紹介です。
このように、概要と使用例を分かりやすく噛み砕いて説明し、他の思考法についても同様にまとめています。

4. 後編に向けて宿題を出す
知識をインプットしてもらった後、後編の実践編に入る前にもう一度頭の体操を行ってもらいます。狙いは以下の2点です。
知っている情報を整理しながら思考する
一つずつ仮定しながら、論理が成り立つかを検討する
このプロセスを意識しながら答えを導くことで、論理的思考の基本的な流れを確実に身につけてもらいます。
ちなみにここで使用した問題も、野村裕之さんの「頭のいい人だけが解ける論理的思考問題」から拝借しました。
ワークショップ後編 〜実際に論理的に思考してみよう〜
前編の座学で得た知識を活かす場として、後編では実際に思考法を用いて課題解決に挑むグループワークをオフラインで行いました。
後編の冒頭では前編で出した宿題の解説を行い、前回の記憶を呼び戻してからワークをスタートしました。

1. まずは1人で考えてみる
こちらで準備した問題に対して、まずは各自が答えを考える時間を設けました。
この後グループごとに議論を行います。参加者が自分なりの考えを持ち寄ることで、他者の意見と照らし合わせ、お互いに思考を深めることを狙いとしています。
問題の内容は、友人が開業した居酒屋を支援するために経営利益が出ない原因を考え、アドバイスをするというものです。
事前に、年間売上や営業時間、費用構成などの具体的な数字を提示し、それを基に思考を進めてもらいました。

問題は以下の書籍から拝借しました。
参考文献:山崎将志.「ロジカル・シンキングの道具箱」.日本実業出版社2. グループに分かれて議論
次に、3~4人のグループに分かれて議論を行ってもらいました。
各自が持ち寄った原因を共有し合った後、グループ内で一つに絞り込む作業を行います。
選ばれた原因に基づいて課題仮説を立て、その後は具体的な施策に落とし込んでもらいました。
この後グループごとに発表を行いますが、単なる施策の共有にとどまらず、今ある情報を基に仮説を立て、検証するという論理的な思考の流れを意識してもらうための型を作成しています。
これにより、参加者が具体的なプロセスを理解し、実際の問題解決に役立てられるようにすることが狙いです。


3. 議論内容の発表と振り返り
各グループ2~3分程度で、先ほどの発表形式に沿って議論内容を共有してもらいました。
また、主催である私たちも発表を行い、どの課題にどのような理由でフォーカスを当てて掘り下げていったかを流れに沿って解説しました。
同じ問題や情報から考え始めたにもかかわらず、出てきた施策の形は様々でした。
最後に、他グループの発表を受けて気づきや感想を振り返りながら、ワークショップは幕を閉じました。
参加者からのフィードバック
実践ワークショップ開催後、論理的思考法の基礎知識を聞いて学んだ座学と実際に論理的思考力を用いて課題解決に挑んだワークショップの2回に対してアンケートを実施しました。
参加者から幅広い視点での感想や意見を収集し、学んだ論理的思考を問題解決に活かせた実感が得られたかどうかを確認することができました。
全2回を通して全体のアンケート結果は平均9.75と参加者満足度の高い嬉しい結果に!
参加者からは以下のような感想が寄せられました。
具体例を示して様々な思考法を紹介してくれたので、わかりやすかったです!
具体的な思考の流れとどう変化してきたのかがわかりやすくて自分も論理的な考え方をしたい!と思いました。
説明ボリュームもあり、その場での理解は難しかったですが、読み返す資料としてとてもわかりやすかったです!!
「議論で論理的思考法を活用することはできましたか?」という質問に対しては、約75%の参加者が「できた/自信はないができた気がする」と答えました。「みんながいるからできた」の参加者も含めると、全員が今回のワークショップを経て論理的思考法を理解し、活用することができたという結果になりました。
2回のワークショップと実践を経て「実はワークショップ開催前から既に活用できていた思考法や、今後の業務の中で活用できそうな考え方など発見はありましたか?」という質問に対しても、以下のような回答が寄せられました。
自分は無意識で仮説思考ベースで話を展開する癖があることに気づけました。 2回目のWSでは分析思考を意識して、論点が散った時に話すべき点を絞れるように出来た気がするので、今後も意識したいです!
論点思考と仮説思考とクリティカルシンキングは普段から使えていました!仮説思考はABテストをする際の仮説立てに自然と使っていました。
意外と無意識で使っている思考があったり、このパターンでこの思考をつかうと良さそうだなというケースを学べた
これまでの業務では、「筋道立てて考えよう、話そう」というイメージはしていたものの、解像度が低く安定して行うことができなかったのですが、今回の思考法でその解像度が上がったので、少しですができるようになってきている実感があります…!
アンケート結果から「何気なくやっていたことが、実は体系化された思考法だったんだ!」という気づきを得た意見があり、印象的でした。ワークショップを通じて意見を交わす中で、私たち自身も同様の気づきを得る機会が何度もありました。参加者も同じように気づきを得てくれたことで、ワークショップの目標が達成できたと感じています。
このワークショップにより参加者には論理的思考についての理解を深めてもらい、今後の業務においてロジカルに考え、質の高い議論ができる能力や、抽象的課題への問題解決能力を磨くためのヒントを提供できたと思います。
まとめ
日々の業務の中で直面する課題について、状況を整理して前に進めるために論理的思考はとても心強いツールだと感じました。ただ、私たちはこれで完璧!というわけではなく、まだまだ成長の余地がたっぷりあります。今回の経験を土台にして、さらに論理的な思考力を深めていけたらと思っています。
今回の活動を振り返ると、たくさんの気づきがありました。特に印象的だった3つをご紹介します。
🔍論理的思考を意識することで見えたこと
日々の業務では無意識のうちに考えをまとめたり、話し合ったりしています。しかし今回の活動を通じて、それが実は「論理的思考法」に沿ったプロセスだったと気づく場面もありました。意識して使うだけでも、以前よりスムーズに議論が進むことを感じました。
🔍論理的思考によってさまざまな視点を得ることの可能性を共有できたこと
ワークショップを通じて、デザイナー同士で思考法を学び合い、具体的な課題で試してみたことは、とても貴重な経験でした。参加者からは「視野が広がった」や「考え方を整理するヒントが得られた」という声をいただき、少しずつ広がりを作れていることを実感しました。
🔍学びを丁寧に積み重ねることの大切さ
一度身につければ終わり、というスキルではなく、日々の業務の中で練習を重ねていくことで、少しずつ成長していけるものだと感じました。時間をかけて、自分たちの考え方に馴染ませていくことが必要だと思っています。
論理的思考は特別な才能ではなく、少しずつ学びながら鍛えられるスキルだと感じています。ただ、まだまだ完璧ではなく、これからも練習を重ねていく必要があります。それでも、ワークショップの準備〜開催を通して得た「こうすれば考えやすそうだ」という小さな気づきや工夫は、これから業務の中でも活用していけるはずです。
特別な準備がなくても日常の中で使えるものもありますし、それが意外と大きな変化をもたらすかもしれません。
これからも試行錯誤しながら、自分たちなりに「考えること」と向き合っていきます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!




