アシスタントAI「トモニさん」完成までの道のりとプロンプト大公開!

 2024.06.28

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こんにちは! ぐるみ AIビジョナリーチームです!

サービスデザイン部ではデザイナー横断で、グループミッション(通称ぐるみ)活動を行なっております。
今回はAIの活用方法を率先して獲得し、広めることを目的に活動しているAIビジョナリーチームの活動内容を共有します。

ぐるみについて詳しく知りたい方は5年で100以上の組織施策。GMOメディア サービスデザイン部の「ぐるみ」の成果と継続する工夫をご覧ください。

GMOメディアではクォーター(3ヶ月)ごとに目標を設定しており、AIビジョナリーチームは今クォーターで2期目となります。
1期目の活動では、デザイナーのAI活用による業務効率化を目的として、AI関連の技術・つツールの実践調査やAIツール活用の勉強会開催、AI活用方法をまとめたポータルの作成などを行ってきました。
2期目となる今クォーターは、表層部分でのAI活用を行なっていた1期目からスコープを変えて、UX5段階モデルにおける戦略・要件フェーズでのAI活用方法を模索しました。
戦略・要件フェーズを考える際にAIツールを活用することで、よりロジカルな思考ができるようになることを目指しました。
それにより、ステークホルダーや自分自身の意思決定のスピードを上げたり、間違った方向に進み手戻りが発生するのを未然に防いたりすることができると考え、結果として作業工数を削減することを目的としました。

UX5段階モデルについて認識合わせと課題感調査

UX5段階モデルの定義を定め、チーム内で認識をそろえる

AIビジョナリーチームでUX5段階モデルについて話したところ、知ってはいるもののバッチリ理解できているというメンバーはいませんでした。
そのため、UX5段階モデルとは何なのかを調べ、チームで認識を合わせるところから始めました。

戦略フェーズと要件フェーズの定義やそれぞれのフェーズで行うとされていることが記事によってバラつきがあったので、AIビジョナリーチームでは活動の軸がブレないように下記の定義で進めることにしました。

戦略
ユーザーのニーズや要望を理解する その施策の目的やゴールを明確にする KPIの確認

要件
ユーザーがどのような要求を持っているのかを理解し、それを満たすためにどのような機能が必要かを決定する ヒアリング・ユーザーインタビュー(戦略フェーズではユーザーニーズの仮説を立てる。要件フェーズで詳しく調査する。)

UX5段階モデルの戦略・要件フェーズで感じている課題の調査

GMOメディアのデザイナーは全員サービスデザイン部に属していますが、それぞれ担当サービスは異なります。
担当サービスによってチーム体制や業務プロセスが異なるので、UX5段階モデルの戦略・要件フェーズにあたる仕事を普段から行なっているか?行なっているとしたらどのような課題を持っているのか?をヒアリングしました。

その結果、多くのサービスで戦略・要件フェーズにデザイナーが関わっていることがわかりました。
しかし、経験が豊富で自信がある!という人よりも、経験が浅く自信がない人の方が多いことがわかりました。

UX5段階モデルについてインターネット上で調べると、サービス立ち上げ時の話を例にした記事が多く出てきますが、私たちが多く行っているサービス運用業務で活用することを考え、今回作成するアウトプットはサービス運用フェーズでの利用に絞ることにしました
また、戦略・要件フェーズの経験が浅い人を対象者としました。

デザイナーに戦略・要件フェーズで感じている課題をヒアリングしたところ、こんなにも多くの課題が出てきました。

戦略・要件フェーズで感じている課題

特に多かった下記の3点の課題を解決できれば、今よりロジカルな思考ができ、間違った方向に進むことによる手戻りの発生などを防いで余分にかかってしまっていた時間を削減し、正しく考える時間の確保ができそうです。

  • 案が思い浮かばない

  • 自信がない

  • 軸がブレる

実際にプロンプトを試してみる

解決すべき課題はわかったものの、具体的なアウトプットの姿はまだ見えていなかったので、今回のAIチームの取り組み開始前にこういうことができたら良いねと話にあがっていたつむらさんの記事を参考に、ChatGPTで自分たちの担当サービスのペルソナを作成してみました。

ChatGPTをフル活用したUI勉強会!プロンプトも大公開|つむら

その結果、実用レベルのものを作るにはChatGPTとかなりの対話を繰り返す必要があることがわかりました。
つむらさんの記事は架空のサービスのペルソナ作成だったのでChatGPTをうまく活用できていましたが、私たちは実在するサービスで活用しようとしていたので、今回のアウトプットの対象者である戦略・要件フェーズの経験が浅い人にとっては難易度が高いと判断しました。

多くのUX5段階モデルの記事紹介されていたカスタマージャーニーマップやバリュープロポジションなどを作成するためのプロンプト集を作ることを検討していたのですが、そもそも普段の業務の施策出しやデザイン作成でそういうものは作っていないので、プロンプト集を作ったとしても利用されず、課題解決にならないのでは…?と気づき、アウトプットの方向性を見直しました。

対象者(N1)の解像度を上げる

アウトプットの方向性を見直すために、対象者(N1)の解像度を上げました。
やったことは、今回のアウトプットの対象者となるレイヤーのパートナーへの、さらに深い課題のヒアリングです。
そして、対象者とゴールを具体的に言語化しました。

対象者
ユーザーが抱えている課題は認識しているが、課題の解像度が低く、正しいアプローチ方法に辿り着くことが難しい状態の人 (がむしゃらに施策を考える期を脱し、ロジカルな思考で仮説を立てて施策を考えようとし始めた人向け)

ゴール
ユーザーが抱えている課題に対する解像度が上がる 課題解決のための仮説が立てられるようになり、その仮説の検証のために何をするべきなのかが分かるようになる

そして、ペルソナを作成しました。 写真はAdobe FireFlyで生成しました。

氏名:佐藤太一
年齢:25歳
性別:男性
居住地:東京都
仕事:プロダクトデザイナー(2年目)
仕事で課題に感じていること:ユーザーが抱える問題の認識はあるものの、その問題の根本的な原因や具体的な解法が浮かばずに適切なアプローチ方法が見つけにくい。また、ロジカルな思考を活用して筋の通った仮説を構築するスキルを磨くことが現在の大きな課題と感じている。

ペルソナの佐藤太一さん

思考を深め、整理してくれるAI活用

対象者とゴールを明確にし、どんな人にどういうシーンで使ってもらうものなのかがイメージしやすくなった結果、辿り着いたのが「思考を深め、整理してくれるAI活用です。
思考の軸がブレないようにサポートしつつ、対話を重ねることで思考を深められるようなものができれば、自分の考えに自信がついてペルソナの課題が解決できそうです。

GMOインターネットグループにはパートナー(社員)専用のAI活用総合ポータル、「GMO Genius」というサイトがあります。
業務で役立つ様々なプロンプトが投稿され、情報交換が行われている場なのですが、そこに投稿されていた「命令者を掘り下げるために質問返しさせ、良質な議論を生み出すためのプロンプト」が私たちのやりたいことと近かったため、そのプロンプトをベースにUX5段階モデルに沿ったサポートをしてくれるように調整を行いました。

あなたは気さくで優しいPdMとして、まだ配属間もないデザイナーのチームメンバー(以下相談者)からの相談に乗ってください。相談に乗るときは下記のルールに従ってください。

- 会話のキャッチボールをする形で相談者とやりとりしてください。やりとりは相談者が満足するまで行います。区切りが良いタイミングで満足しているかの確認を投げてください。相談者は、ラバーダッキングの要領で、あなたとの会話の中で解答を見つけ出します。
- 箇条書きでの情報提供は避け、あなたの回答の最後にネクストステップを提示してください。情報提供に傾倒した解答をすると、相談者が次にすることがわかりにくくなり、戸惑わせます。
- 相談者の話す内容を鵜呑みにせず、第三者目線で厳しく網羅的に現状を分析し、重要な検討事項があれば相談者に提示してください。相談者は成長段階で、知らない知識、気づいていない可能性などがたくさんあります。
- 施策を考える際は、UX5段階モデル(戦略フェーズ→要件フェーズ→構造フェーズ→骨格フェーズ→表層フェーズ)を中心に考え、相談者の現在のステータスをこれらのフェーズに照らし合わせて必要事項を検討してください。なお、要件フェーズと要件フェーズまでのサポートに注力し、それ以降のフェーズではサポートは必要ありません。
- 最終的に施策の要件を立てるため、やりとりを通してあなたの中の不明点を一つずつ明かしていってください。あなたが明かすべき主な不明点は、施策を実施する理由となる一番深い課題、相談者の施策に対して考えていること、相談者のリソースの3点です。

GMOメディアでは、Azure OpenAI Serviceを活用した社内版ChatGPTが導入されております。
導入についての記事はこちらをご覧ください👉社内版ChatGPTを導入したお話(LibreChat)

今回はAzure OpenAI ServiceのAssistants API機能を使い、指示文に上記のプロンプトをセットし、AIアシスタント「トモニさん」を作成しました🎉
対話をして「共に考える」ので、トモニさんと命名しました🫱‍🫲

トモニさんのビジュアルはAdobe FireFlyで生成しました。
宇宙の探索者のようなイメージで、ほどよく人間感があって話しやすい印象のビジュアルになっています。

トモニさん
トモニさんと会話をしている様子

粒度の粗い状態の課題を話しても、トモニさんが深掘りをしてくれるので思考の整理ができます。

先ほどの指示文でも十分思考の深掘りが行えるのですが、もし担当サービスのもっと具体的な話をしたい場合は、上記の指示文にサービス情報を追加します。

ChatGPTに渡すサービス情報 これらの項目はChatGPTにサービスを検索してもらい埋めてもらうこともできるのですが、自分の担当しているサービスに関することなので、自分で埋めることを強く推奨します。

## 1. サービス概要(必須)

- サービスの目的
- サービスが提供する価値
- ターゲットユーザー
- サービスの歴史や発展過程

## 2. サービス機能(必須)

- 主要な機能とサブ機能
- 機能ごとの利用方法
- 機能の利益・提供価値

## 3. テクノロジー・アーキテクチャ(オプション)

- 使用技術(プラットフォーム、プログラミング言語、フレームワーク)
- システムアーキテクチャ図
- データハンドリング(データベース等)

## 4. マーケット分析(必須)

- 競合状況
- 目標市場とマーケティング戦略
- 市場での位置付け

## 5. 収益構造(必須)

- 販売手法(直販、オンライン、代理店等)
- 販売促進戦略
- 顧客獲得手法

## 6. 利用事例・ケーススタディ(オプション)

- 既存顧客のケーススタディ
- 成功事例
- 利用シナリオ

## 7. サポート体制(必須)

- 利用者サポート体制(カスタマーサポート)
- FAQ、マニュアルの有無
- サポートの連絡先情報等

## 8. 法律・規制遵守(オプション)

- 適用される主要な法律
- ユーザーデータの取り扱い
- プライバシーポリシー

## 9. サービス展望・将来計画(オプション)

- 短期・中期・長期の目標
- 計画されている機能拡張や改善点
- 未来の展望やビジョン

サービスの前提知識を教える場合のプロンプト例はこちら (一部公開できない情報なのでマスクしています)

あなたは気さくで優しいPdMとして、まだ配属間もないデザイナーのチームメンバー(以下相談者)からの相談に乗ってください。相談に乗るときは下記のルールに従ってください。

- 会話のキャッチボールをする形で相談者とやりとりしてください。やりとりは相談者が満足するまで行います。区切りが良いタイミングで満足しているかの確認を投げてください。相談者は、ラバーダッキングの要領で、あなたとの会話の中で解答を見つけ出します。
- 箇条書きでの情報提供は避け、あなたの回答の最後にネクストステップを提示してください。情報提供に傾倒した解答をすると、相談者が次にすることがわかりにくくなり、戸惑わせます。
- 相談者の話す内容を鵜呑みにせず、第三者目線で厳しく網羅的に現状を分析し、重要な検討事項があれば相談者に提示してください。相談者は成長段階で、知らない知識、気づいていない可能性などがたくさんあります。
- 施策を考える際は、UX5段階モデル(戦略フェーズ→要件フェーズ→構造フェーズ→骨格フェーズ→表層フェーズ)を中心に考え、相談者の現在のステータスをこれらのフェーズに照らし合わせて必要事項を検討してください。なお、要件フェーズと要件フェーズまでのサポートに注力し、それ以降のフェーズではサポートは必要ありません。
- 最終的に施策の要件を立てるため、やりとりを通してあなたの中の不明点を一つずつ明かしていってください。あなたが明かすべき主な不明点は、施策を実施する理由となる一番深い課題、相談者の施策に対して考えていること、相談者のリソースの3点です。

以下のサービス情報を前提知識として読み込んでください。

## 1. サービス概要

小説投稿サービス「プリ小説」。LINE のような見た目をしたチャット型小説が気軽に書ける・読めるのがサービスの特徴である。
自分の名前を小説の中に登場させられる夢機能を使った夢小説も人気である。
アプリと web の両方で提供しており、アプリと web を合わせた MAU は 258 万人ほどである。アプリのみの MAU は ●● 万人ほど。
ユーザーのほとんどは●●●●●●●からプリ小説に流入します。例えば、●●●●●●●です。

## 2. サービス機能

主にアニメや漫画の二次創作小説や、実在するアイドルや配信者を題材としたナマモノ(nmmn)小説が投稿されている。
ニッチなジャンルの小説も投稿されているので、他の小説投稿サービスにはないけどプリ小説にならある、という小説もある。
●●●●●●●●●●●●●●というのが他の小説投稿サービスと差別化できているポイントである。

## 4. マーケット分析(必須)

●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●

## 5. 収益構造(必須)

●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●

会話を繰り返していると要件をまとめてくれる場合もあるのですが、もし最後まとめに入らなかった場合は別途要件定義用のプロンプトもあります。

施策の要件を詰めたいです。
下記の項目を埋めるために必要な質問を一問一答形式で私にしていき、項目を埋めていってください。
そして、項目が埋まり切ったら最後に出力をしてください。

## 達成すべき目標(プロジェクトが成功と言える状態は何か?)
## Why(目的は何か?)
## What, so What(どんな意思決定や行動のために、どのような情報を知るべきか?)
## Who, When, Where(誰が、いつ、どこで見るのか?)
## How(求められる機能やデータ項目は何か?必要な更新頻度は?)

これはデジタル庁が配布している要件定義ワークシートの項目を参考にしています。
一問一答形式で聞いてくれるので、聞かれたことに対して戦略フェーズでまとまった考えを答えるだけで要件がまとまるようになっています。

プロンプトの調整について

先ほど紹介したプロンプトに辿り着くまで、何度も改良を重ねました。 課題の深掘りを優先していたら元の課題から離れていってしまったり、実現できる規模を超えた対策になってしまったり。
また、トモニさんが過保護すぎたり、会話のテンポが早いと利用者の思考サポートというよりはトモニさんの思考になってしまい、”AIに使われる”状態になってしまうので、適切なバランスをとることも意識しました。

そして最終的にラバーダッキングのような使い方が良いのでは?となり、指示文をシンプルにしました。

ラバーダッキング:問題が発生した際に、ラバーダックに悩みを話しかけることで、頭の中を整理し、問題の解決を図る方法です。

「ラバーダッキング法」で悩みの解決を図りませんか?
https://chikusa-zaitaku.jp/news/p163339/

最後にプロンプトの書き方を見直し、完成となりました。 プロンプトの見直し時に参考にした記事はこちら
東京都の生成AI活用事例集にツッコミを入れてみる|saip(さいぴ)

まとめ

これまでのAI活用では、「答えをもらう」ことに主眼を置いてきてました。たとえば、メール文生成、ツイート文生成、画像生成、スライド生成、ペルソナ生成などです。
しかし、答えを求めるにはハルシネーションや精度の問題、プロンプトが定型的過ぎる問題などがあって実用性に欠けてしまい、AI活用があまり浸透しませんでした。

今回のぐるみでは、当初の答えをもら方針を振り切って、答えをもらうまでの道のりで得られる気づきや思考整理の「副次的な価値」を引き出す活用方法にフォーカスしました。

実は、私たちのチームも当初は答えをもらうことを念頭に話を進めていたのですが、試してみたものの実用的なものを作ることは難しく、途中で行き詰まってしまいました。
そこで、UX5段階モデルとはなんなのか?N1が抱える課題は何か?AIで解決可能なプロンプトはいかなるものか?と0から考え直した結果、「会話から解決策を共創する」という方向性を見出すことができました。

トモニさんと共に、デザイナーに限らずエンジニアやディレクターもUX5段階モデルに則り思考を深め、より良いものが生み出せるようになったと思います。
答えをもらうためのAI活用ではなく、共創するAI活用をお考えの方に参考になれば幸いです!

宇宙を旅するトモニさん

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